シャルレのパンツで、登校日
小学6年生の夏休み。
登校日前日の、夜のことでした。
お風呂に入るため、服を脱ぎました。
パンツに、茶色いものが付いていました。
ウンコ漏らした・・・・・・
と思い、そのままパンツを洗濯機に入れました。
念のため、トイレに行きました。
お風呂に入っている間に、また漏らしたら大変!と思ったからです。
和式トイレに、全裸でしゃがみました。
今度は、便器に赤いものが垂れました。
学校の保健指導の時間に、いやというほど習っていたので、「生理だ」とわかりました。
ウンコではなかったのです。
こんな面倒なことが、40年間も続くのだと思うと、ぞっとしました。
人生の不条理を、憎みました。
立ち上がり、トイレのドアを開けました。
初潮を迎えてからの、第一声を発しました。
大声で、
高らかに。
「おまんから、血ー、出た〜」
母は、台所で食器を洗っていました。
父は、居間で野球中継を見ていました。
姉は、塾に行っていました。
あのひとことは、まだ子どもでいたいという願望の表れだったのかもしれません。
女性性の否定とも、言えるでしょう。
いや、違います。
時間差でパニックになっただけです。
翌日、母の履き古したシャルレの生理用ショーツを履いて、登校しました。
夏休みは、まだ続きました。