破壊してないから犯罪じゃない
今日、雨が降ってるから傘を差そうと思って広げたら、骨が折れていた。
『なんだ折れてんじゃん。あ!わかった。あのおじさんのせいだ。混んでる電車の中で、おじさんとわたしの間に傘が挟まっていて、わたしが無理やり引っこ抜いた・・・・・・あのときだ』
そう思いながら、マンションのごみ捨て場に折れた傘を置き、別な傘を差して散歩に出かけた。
途中、大通りの街路樹のところで、猫を見かけた。
「にゃあにゃあ、かわいいにゃあ」
話しかけたけど、猫はすごい勢いで路地裏に逃げて行った。
目の前の街路樹に見覚えがあることに気付いた。
『あ!これ、数日前にわたしが傘で殴った街路樹だ・・・・・・』
もしかして、路地裏あたりから、猫に見られていたのかもしれない。
だから猫は、わたしを見てすぐに逃げだしたのかもしれない。
猫には逃げられるし傘は折れるし、いいことないから、傘で街路樹を殴るのはもうやめようと思った。
今度は素手で、何を殴ろうか。