ヘックを知ってる? じゃあティップネスは?

小学校に入学したての頃、休み時間ごとクラスメイトたちがあちらこちらで口にする、「ヘック」という単語の意味がわからなかった。


「今日、ヘックだから」
「じゃあ、今日は遊べないね」


「○○ちゃんはヘックに通わないの?」
「わたしはピアノと、それに習字もあるから」


ヘックとは、どうも習い事らしいということはわかったけど、それがどんな習い事なのか、いっこうにわからなかった。
ヘックの謎が解けるまで、3年くらいかかった。


すでに小学校3年生くらいになっていた。


「昨日ヘックで平泳ぎを習ったよ。まだうまくできないんだ」
そんなような言葉が、教室内のどこかから聞こえてきた。
そこで初めて、「ヘック」が、スイミングスクールの会社名だということを知った。


そのときもやっぱり休み時間で、わたしは自分の席に座って、「り」ちゃんと「す」ちゃんという中国人姉妹が出てくる自作のギャグマンガを描いていた。
シリーズものだった。


「ヘック」が何か知るのに3年かかるくらい……また、中国人の「り」というのは、名前ではなく名字だと誰もつっこんでくれないくらい、友だちがいなかった。


ここであえて、不特定多数の人間がたまたま見る、ブログという場で書こう。
友だちがいない小学生が見るかもしれないというのに!


わたしは今日、「ティップネス」に行った。
12月上旬に入会し、その後1度行ったきり行っていなかったティップネスに行った。
ティップネスでハリウッドヨガをやり、ティップネスでフラダンスを踊った。
昼間に行ったから、フラダンスを踊る人たちの平均年齢は55歳くらい。
全員女性。
それ以前に、参加者が6名だけ。


4名は、自作のフラダンス風スカートを履いていた。


1名は、夫も前に買ったことのある、黒地に赤のイチローモデルの、スパッツのようなスポーツウェアを履いていた。
さらにその上に、短い黒のプリーツスカートも重ね履きしていた。
フラダンス講座が終わったあと、その人に話しかけられた。


「長いスカートのほうが、腰の動きがうまくできなくてもカバーできたわね」
「はぁ、そうですね。わたしなんて、ひとりだけジャージで参加してしまいました……」


その後、サウナと温泉に入り、わたしはティップネスを後にした。


ティップネスが何か知りたい小学生は、「ティップネス」と検索エンジンに打ち込んで検索すればいい。
友だちがいなくても、多少は住みやすい世の中になった。