生きるのに最低限

読書禁止4日目。
読むことも書くこともせずに、眠る。眠る。
昼間も眠る。


夕方行った鍼灸院でも熟睡。
「鍼を取りますね」
「はがッ!!……熟睡してました」
「だと思いました」
熟睡していたことがバレていた。


前々から、胃腸虚弱と低体重について相談していたので、「どうですか? 体重は」とも訊かれた。
「増えません……。低ーいところで落ち着いてます」と答えたあと、「どんどん減っていくわけでもないので、重大な病気ではないのだろうと、楽観的に考えるようにしています」と付け加えた。


「スポーツクラブには行ってるんでしょ?」と、ふいに訊かれ「ふがッ!!」
嫌なことを思い出させられたせいで、また変な声を挙げた。
わたしは手術服みたいな専用の服を着て、仰向けに寝ながら奇声を発しすぎだ。


「スポーツクラブに所属してること自体……忘れてました」
「……」
「あのー。わたし、体重が増えないわけがちょっとわかったんですよ」
話題を変えてみた。
「気付いたら、あんまり食べてないんですよ」
「あー。それは、体が生きるのに最低限の栄養しか必要としてないってことですよ。そろそろまた、スポーツクラブで体を動かすといいですよ」


先生のさらりと言った言葉……『生きるのに最低限の栄養しか必要としてない』
これは名言だと思う。


わたしは生きるのに最低限の栄養と、最低限の娯楽だけを必要として生きてきた。
これはたぶん、他人と比較しても、ほんとに最低限だと思う。
少しの水と土さえあれば平気、みたいな、サボテンみたいな人間だ。


わたしが生きるのに最低限とみなす、愛情だけが求めすぎなのかもしれない。


友だちは、気付いたらいつもいない。
最低限は必要としたほうがいいと思う。