読書禁止5日目

読書禁止週間なのに、ブックカフェにいた。
気になる本が置いてあったけど、グッと堪えて開かずに、タイトルをメモしてきた。
数日後にAmazonで注文しよう。


今日はもう1軒喫茶店に行った。
「エビピラフ」を注文したら、店員さんが厨房に向かって「エビです」と言っていた。
出てきたのはもちろん、伊勢海老まるごと、なんかではなくエビピラフだった。


メニューに「エビグラタン」もあったけど、そっちを注文したら、店員さんはなんて言ったのだろうと気になって仕方なかった。


海老具(エビグ)
海老蔵(エビグラ)
海老胆(エビタン)
絵瓶(エビン)


隣のテーブルに座った40代女性ふたり組のうち1人が、「このまま生きてても仕方ないって時々思うのよね」と、笑い交じりに言っていた。
なんでも、完全治癒することのない、薬で症状を抑えるだけの病気が発覚したらしい。
「1回病院行くだけで1万よ」と、やっぱり笑いながら言っていた。


彼女の食事が運ばれてくる前に店を出てしまったけど、彼女の頼んだものがエビグラタンで、店員さんの略し方は「エビタン」だったらいいなぁ、と思った。
そして彼女は自嘲気味な笑みじゃなく、「ぶはッ」って一瞬本気で笑うのだ。
「今、エビタンって言ったよね。擬人化してるね」などと言って。


そうすれば、笑い交じりに話すことで、話すほうも聞くほうも、愚痴を愚痴じゃないとする2人の空気は壊れる。
たった一瞬。


エビタン……その一瞬をもたらせてあげて。