「わたしの指は骨折していない」と決めた

1ヵ月ぶりに靴下を履いた。
スニーカーも履いた。


右足の、中指と薬指を骨折してから、一昨日でちょうど1ヵ月が経った。
明後日あたり、病院に行って、レントゲンを撮ってもらう予定だった。
そのとき、「もう固定のための器具は取ってもいいですよ。包帯も取っていいですよ」と言われるだろうと予想していた。


でも、人生には、自分で決断しなければならないときがある。
たとえ相手が医者だろうと、決断を他人に任せてばかりはいられない。
そんなんじゃ、そのうち、靴下とかパンツとか、捨てどきの判断が難しいものを、1枚たりとも捨てられなくなってしまう。


「今日からわたしの指は骨折していない」と決めて、1ヵ月ぶりに、「包帯にサンダル」ではなく、「靴下にスニーカー」で外を歩いた。


バスに乗った。
マンガ喫茶に行った。
ブックオフに行った。


横断歩道の上を走ってみた。


微かに痛みを感じて、「もしや、まだ折れてるのでは」と思った。
「でも、いいや」と思った。
「自分で決めたことだし」