セクシーすぎる

みなさん、突然ですが、小学校、中学校に通っていた頃のことを思い出してみて下さい。
頭のおかしな先生が、1人や2人、いたことと思います。
1人や2人どころか、90パーセント以上の先生が、気が触れていたことを思い出すかもしれません。


わたしの出会った先生も、大半が気が触れていました。


小学校のときお世話になったS先生は、教室でウサギを飼っていました。
授業中、足下にうさぎがピョコピョコ近付いてきました。
かわいいうさぎならまだ良かったのですが、先生が教室に連れてくるウサギは、怪我をしたウサギでした。
顔面カサブタだらけでした。
飼育小屋に入れておくと、また他のウサギにいじめられ、怪我するから……という理由で、教室内で飼っていました。


入れ替わりで、チャボも教室内で飼っていたことがありました。
怪我をしたチャボが足下に近付いてくる、そんな授業風景が見られました。


中学校のときお世話になったY先生は、たぶん、金八先生に憧れていたのだと思います。
そうじをさぼった生徒が数人いたため、クラスの生徒全員に、「そんなに掃除がしたくないなら、しなくていい。『先生が1人で掃除をします』」と言いました。
しなくていいと言われたので、しませんでした。
示し合わせたわけでなく、当たり前のように全員が掃除をせずに帰りました。
『先生が1人で掃除をした』のは1日だけでした。


「誰1人、『掃除をやらせてください』と言ってくる生徒がいなかった。みんなの使う教室じゃないか。今日の放課後、誰かが言いに来るのを待っている」
素直な生徒が数人、先生のところに行き、先生の指定した台詞を言い、一件落着となりました。


その後、時は経ち、わたしは大人になりました。
もう、気の触れた先生方と関わる機会もないだろうと思っていました。
ところが、あたかも、暴力父に殴られて育った娘が、大人になって暴力男と付き合うように、わたしは、少女時代苦しめられた、学校という場を、職場として選んでしまいました。


中学校で事務職員として働き始めてすぐに気付いたことは、「やっぱり学校で働いている人の大半は頭がおかしい」ということでした。


中でも、学校内で一番頭のおかしいのは、校長先生でした。


わたしが、ヒステリックグラマーのレプリカみたいな柄のトレーナーを学校に着て行ったときでした。
校長室に呼ばれました。


「君の着ている服は、生徒を挑発している」
「こんなカジュアルな服のどこがですか」
「描いてある絵がだね〜」
「この女の人ですか。別に裸とかじゃないですよ」
「お腹の出ている服を着ているじゃないか。絵の女性は」
「確かにお腹は出てますけど、別にわたしがお腹を出しているわけではないですし」
「とにかく、その女性はセクシーすぎる」


「わかりました。……じゃあ、パンダはどうなんですか」
「パンダって、なんのことだね」
「パンダはパンダです。パンダの描かれた服はどうなんですか」
「パンダはわからないけど、とにかく、今着ているその服はやめてくれ」
「パンダについて、ちゃんと答えてくれないと困ります」
「パンダ、パンダと言われても、何のことかわからんよ」
「パンダはパンダですよ」
「だからパンダはわからないと……」
「なぜ、パンダがわからないんですか」
「いや、パンダは……」
「パンダです。パンダ」


女の人の描かれたトレーナーと、パンダの描かれたパーカーの、2枚しか持っていませんでした。
どちらも禁止されてしまうと、次の日着て行くものがなくなってしまいます。
必死でした。
なのに、校長はパンダについてちゃんと答えてくれませんでした。
偉そうなことを言っておいて、パンダについて何も決断できない校長に失望しました。
わたしは、その後3ヵ月で退職しました。


そして現在です。
マンガ「NHKにようこそ!」の、岬ちゃんが描かれたTシャツを部屋着にしています。
わたしが今も中学校で働いていて、このTシャツを職場に着て行ったとしたら、校長はこう注意したと思います。


「君の着ているTシャツは、生徒を萌えさせすぎる」