巡り会えたね
たぶんもう寿命なんじゃないかと思うくらい、体の調子が悪い。
そんなわたしに、天才が、高麗人参を勧めた。
なんでも、昨日、知人から頂いたようだ。
でも、それが、よりによってカプセルだった。
カプセルは、味がしないし薬みたいだし、好きじゃない。
「い〜らない」と言って、わたしは買い物に出かけた。
トイレットペーパーを買うために薬局に入ったら、高麗人参茶の箱が、山積みで売られていた。
1日に2度も高麗人参に巡り会うとは、何か縁があるのかも、と思った。
高麗人参茶の箱の横に、ポットが置いてあった。
「高麗人参茶!!ご自由にお飲みください」と書いてある。
さらに、「体が温まりますよ」とも書いてあって、かなり心惹かれた。
紙コップを手にし、ポットの中の高麗人参茶を注いだ……
つもりが、注がれたのは透明な液体だった。
『高麗人参って、意外と色が出ないんだ』と思いつつ、一口飲んだ。
お湯だった。
ただのお湯だった。
わたしは、紙コップいっぱい注いだお湯を飲み干した。
確かに、体が温まった。
そのとき、家に帰ったら天才に高麗人参カプセルをもらおうと、心に決めた。
同じように味がしないものでも、お湯よりはカプセルの方がいくらか飲みやすい。
味のしないものに1日に2度も巡り会うとは、わたしは味のしないものに縁があるのかもしれない、と思い直した。