足は折っても歯は折るな

なんとなく、自宅屋上から飛び降りてみたい気分だったのですが、歯が折れると困るのでやめました。
前に、前歯が欠けて死のうとしたことがあったけれど、今度は、歯が折れるのが嫌で死にません。
歯と命、どっちが大事なんだと訊かれたら、即答します。
歯です。
前歯だけは大事にしなさい、というのが母からの教えです。
総入れ歯の母からの教えです。


いや、総入れ歯ではありませんでした。
母には、1本だけ歯が残っていました。
母が入れ歯をしていないとき、近所の赤ん坊が1本だけ残るその歯を指差し、「まんま」と言ったことがありました。
そのときは、一生分くらい笑いました。
確かに、そう言われてみると米粒そっくりでした。
入れ歯が合わないからと、よくはずしたまま外出していた母が、それ以来、必ず入れ歯をはめて出掛けるようになりました。


そんな素敵な思い出をくれた母ですが、今でもとっても元気に生きています。
わたしも元気に生きています。


スナネズミは明日手術です。