○○○○器(キャンプとかで使うもの)

天才が、寝る前にしりとりをしようと言い出した。

「いいよ。天才からどうぞ」
「みかん」
「・・・・・・」


しりとりだとしたら、「ん」がついたら負けだ。
それなのに、しりとりをやろうと言い出した本人が、しょっぱなから負けるなんておかしい。
ということは、これはしりとりというより、連想ゲームなんじゃないか。
わたしは、柑橘類つながりで攻めてみることにした。


「はっさく」
「りんご」
「えー!?柑橘類つながりじゃないの?」
「違うよ」
「そっか。じゃあ、皮を剥くつながりかな。・・・・・・じゃがいも」


天才は、しばらく考え込んでいた。


『天才は意外と言葉を知らないんじゃないか。
皮を剥けるものなんて、わたしだったらいくらでも思いつくのに。
たとえば、栗とか、にんじんとか・・・・・・』


「めだか」
「え?」
「めだか」
「えーーーーー!?やめてー!そんなー!死ぬー!!」


わたしは、しばらく悶え苦しんだ。


「何を苦しんでるの?生物つながりだよ」
「え!?そうなの?そっか。よかった。安心した。じゃあ、木」
「まぁ、ここまで全部、皮を剥げることは剥げるんだけどね」


笑みを浮かべながら、木の表面を1枚1枚剥がしていく天才と、そして、めだかの皮を剥ぐ天才を思い浮かべ、わたしは再び悶え苦しんだ。