おつかれさまの大合唱

美容院に行った。


シャンプーの後、カットのための席に戻った。
1人の美容師さんが「おつかれさまでした」と言ったと思ったら、2人3人と、最後には全員が「おつかれさまでした」と言ってくれた。


いつも思う。
この大合唱は、照れるけど気分がいい。


やっぱり今のうちにトイレに行っておこうと思って、担当の美容師さんにその旨を伝え、席を立った。
トイレから戻ってくると、遠くにいた美容師さんが振り返り、「おつかれさまでした」とさわやかな笑顔で言った。
2人、3人と、最後には全員がわたしに向けて「おつかれさまでした」と言った。


この大合唱は・・・・・・


えーっと。
照れる。
照れる。
ひたすら照れる。


気分がいいというより、「トイレに行って気分がよかったでしょう」と見破られてるような気がして、ひたすら照れる。


鏡越しに担当の美容師さんと目が合った。
彼女は苦笑していた。
鏡に映るわたしは、まぬけな顔をしていた。
美容師さんと同じように苦笑を浮かべ、意思疎通を図ろうと思ったけれど、うまくいかなかった。


まぬけな顔のまま目を閉じた。


そして呼吸しながら数を数えた。
瞑想を始めた。