絶縁(ヤクザ映画のタイトルにあったのは「逆縁」か?)

昨夜、母から電話があった。
用件はいつも通り金の無心なんだろうなぁ、と思いつつも、一応は「最近体調どう?」と訊いてくるから、「まぁ。いつもどおりだね。よくはないね」と答えた。


「あとさぁ、こうやって電話もらうたび体調悪化するんだよね。そうすると回復するのに何日もかかって何もできなくなるから、しばらく電話してこないでほしいんだ」
「あぁ、そう。そんな弱い子だったの」
「いや、弱いっていうか、自律神経失調症って病気だから」
「あら〜。そんなに弱い……」
「だから、そうやって言われるたび傷付くんだよね。別に弱いとかじゃなくて、自律神経失調症って病気で、女の人はなりやすくて。あとパソコンの光とか首の凝りとかでもなるから」


「あー、そう。実はね、またお金の話なんだけど」


『あぁ。もう!お金の話も、生まれてこの方1冊も本を読んだことがなくて、数年前、わたしが教えてあげるまで、恐竜っていうのはアフリカで今も生きてる動物だと思ってた人とは話したくない!!』


「だからもう、お金の話も何もかも、電話で話すたびに、耳鳴りがひどくなって、吐き気のせいで外出とかパソコンに向かったりできなくなるから」


「吐き気がするって言っても、吐くわけじゃないんでしょ。お母さんなんて、若い頃胃潰瘍になって、実際吐いたんだから」



『そりゃあ、胃潰瘍では吐くさ……。歩いてたりタクシー乗ってたりして、いきなり吐き気が襲ってくるのも、それはそれで辛いんだけどなぁ……』



この後、結局話はこじれて、「お姉さん、7年前に躁鬱病で入院したとき、『お父さんはどのイメージですか? 』って訊かれて悪魔のカード選んだって言ってたよね」
「それは、そのときそう思っただけでしょ」


「お父さん、アル中じゃん?」
「でも、仕事行ってたでしょ」
「仕事行ってても、家ではお酒飲んでる姿しか見たことないよ。包丁振り回したり、ふとんの上で花火やったりするのはアル中でしょ」


「お父さんはそんなだし、お母さんだって……ほら、あの、知識がないから全然話通じないし」


「あー、そう。そんなに家族が嫌だったの」


「嫌だったよ。実家にいたとき毎日死にたかった。早くお父さんが死ねばいいのにって思って、自分の部屋の床に寝転がりながら、下のお父さんがいる部屋に向かって『死ね死ね死ね死ね死ね死ね……」ってずっと呟いてたよ」


「そうだったの。お父さん、あんたにだけは好かれてると思ってたみたいだけどねぇ。わかった。お父さんに言っとく」


『えー!? 1年くらい前から鬱病で、今は家からも出られなくなってる、お父さんにわざわざ報告するのか……まぁ、いい。わたしの責任じゃない』


「そしたら、もう電話しないから。旦那さんのお義父さん、お義母さんにかわいがってもらいなさい。旦那さんと仲良くね。それじゃあ、元気でね」
「うん。あ〜、それじゃ」


40分の通話のあと、実家と絶縁した。
夫に話したら、「そう簡単に縁は切れるもんじゃない」って言っていたけど、結婚して家を出たのに、関係が続いていたほうが不思議だった。


夫の家から頂いた結納金の一部で、何を思ったか嫁入り道具として母から持たされた着物3枚。
うち、2枚は夏・冬それぞれの喪服だった。
帯・草履・バッグ、すべて黒。
もう1枚の着物はピンクの無地で、「帯と草履は自分で買いなさい」と言われた。


あの喪服を捨てたら、完全に実家のことが忘れられそうだ。
その前に、父が近いうちに自殺して入り用になるんじゃないかと、現実問題として考えている。


実家の話はここまで。




今日、夫と映画「クワイエットルームにようこそhttp://www.quietroom-movie.com/を観てきた。
観終わったあと、本格的に、夫と離婚するべきだという気になった。


最悪な環境で育ったり、他人に迷惑をかけながらじゃないと生きて行けない人間は、やっぱり1人で生きていくべきなのだと思う。