漢字検定2級です

初めて会った人などに「あの漢字どう書くんでしたっけ?」などと申し訳なさそうに訊かれると、わたしはネタのつもりで「まかせてください。わたし漢字検定2級ですから」と答える。
そして、取ったのが随分前なため、わたしが漢字を書いて渡したメモは「……それは違うと思います」とさらに申し訳なさそうに返されることが多い。


漢字検定2級」がどれだけ生きていく上で無意味なものか、たいていの人は知らないから、誰も「漢字検定2級」について突っ込んでくれない。
「2級なのに書けないんですか!?」と突っ込んでほしいんじゃなく「2級なんて取って、なに時間を無駄に使ってるんですか!?」と突っ込んでほしいのに。


テレビは観ないと昨日書きつつ、そういえば先週テレビで『テレビチャンピオン』観た!
漢字検定準1級という、わたしよりも上級者の小学生が漢字の書き順を間違えて泣いていた。
たしか「卍」の書き順だっただろうか?
泣くだけじゃなく、鼻水が垂れて口に入りそうで入らないのをテレビカメラは長いあいだ捉えていた。
天才とふたりで、「うわー! この男の子、明日学校でいじめられるだろうなぁ」
「いや、わたしはいじめられないと思うよ。わたし知ってるもん。世の中には、いじめづらい子というのが存在するんだよ。いくら奇行を繰り返しても、関わりたくないから誰もいじめないんだよ。……まぁ、わたしがそんなだったんだけどね」


食卓が一気に暗くなった。


「『卍』って、2画で書けばよくない?」
天才のひと言で、わたしたちの間の空気は、ちょっとだけ明るさを取り戻した。