ユウコとメラコ


今まで花なんて全く興味がなかったのに、最近では、道を歩いていてきれいな花を見つけると、持ち帰りたくなります。
咲いているのがパンジーなら、なおさらです。
それが、他人の家の持ち物だろうと、関係ありません。


「だって、パンジーを家の前に植えるのは、わたしの専売特許だもん。絶対渡さない!……他のどうぶつたちには」


そう言って、他人の家のパンジーを毟り取ろうとするわたしを、いつも天才が止めてくれます。


そんなとき、どうぶつの森もいいけど、こちらの森……、いや、街も捨てたもんじゃないな、と思うのです。
そんなお礼も兼ねて、昨日、天才のために花を買って帰りました。
といっても実際は、「他の花で気を紛らわし、よそ様のお花を盗まないように」という、自分の泥棒対策でもあります。


花屋で、一目見て気に入ったのが、『メラコ』という名前の花でした。
鉢に、値段とともに、『メラコ』と書かれていて、名前がまた素敵だなぁ、と思いました。
ふだんは気が強いのに、実は涙もろい……、きっとそんな感じの女の子です、彼女は。
そうして想像すると、一段と愛着がわいてきました。


ところが、今日、他の花屋で見かけた『メラコ』には、『メラコイデス』とい書いてありました。
『メラコ』というのはどうやら愛称のようなもので、正式には、『メラコイデス』あるいは『マラコイデス』というらしいということが、後からわかりました。


今まで『ユウコ』と思っていた女の子に突然、「わたしの正式名称は、『ユウコイデス』なの。今日から『ユウコイデス』と呼んでね」と言われても、そうそう、自然に呼べるものではありません。


『メラコ』と呼び続けるか、『メラコイデス』と呼ぶよう努力するか、決めかねています。


ところで、今日、どうぶつの森すれちがい通信が成功しました。
見知らぬ誰かから届いたメッセージボトルには、ピンクの『コスモス』が添えられていました。
DSには、確かに『コスモス』と表示されるのですが、『コスモスナンデス』とか、『コスモスザウルス』かもしれないと、疑ってかかるべきかどうか、判断に苦しんでいます。


人生は、悩みが多くて困ります。