マック君の日記帳

彼は、破壊したマック君(マッキントッシュ)から大きめの部品を取り出し、それを電子レンジにかけました。


「それ、心臓?」
わたしは訊きました。


「違う。心臓ではない。これは記憶するところ」


「じゃあ、脳?」


「脳でもない。マック君の、日記帳みたいなものだよ」


「そっか。なら、良かった。マック君の心臓、焼かれちゃわないんだね」


電子レンジで温める理由は、そうすれば、中のデータが消えるからだと教わりました。


マック君は、死んじゃって、日記帳を奪われて、金魚の入った水槽の横に、放置されています。


わたしは共犯者です。


毎日、かつ丼とかケーキとかをお盆に乗せて、マック君に持って行くべきなのかもしれません。